自身が訪問リハ、訪問看護に関わって15年たちます。特に訪問看護から行く訪問リハビリが多いと思いますが、その報酬(訪問看護も含めた)は複雑であり、十分な理解が必要と感じています。
以下に最新の医療・介護報酬改定を踏まえてまとめてみましたので、皆さまの報酬関連の知識のアップデートの一助になればと思います。
その利用者は医療保険?介護保険?
最初に躓く点は、利用者が医療保険なのか介護保険なのかの選択です。病院から行く訪問リハビリと違う報酬体系である訪問看護についての保険選択の流れはしっかりと身に着けておくべきでしょう。
①介護保険か医療保険か
まずは介護保険なのか医療保険なのかを判断する必要性があります。分かりやすくフローチャートにまとめさせていただきました。
訪問看護?医療保険か?のフローチャート 🔗介護保険・医療保険の選択(訪問看護ステーション)
またこの中に示された、厚生労働大臣が定める疾患 も知っておく必要があるでしょう。
この中で一つだけ変わった項目がないでしょうか。そう 9:パーキンソン病関連疾患 です。ヤールの重症度分類ステージ3以上 かつ 生活機能障害度がⅡ度又はⅢ度のものに限るという項目です。こちらに関しては、別のページで詳しく述べているので、そちらのリンクをご参照ください。🔗パーキンソン病関連疾患
そしてもう一つ、 別表8:厚生労働大臣が定める状態等 があります。こちらは疾病ではなく 状態 となります。
そう 別表7に示す疾病ではなく別表8で定める状態であれば医療保険が選択 されることになります。
これを見る限り、在宅で医療依存度、医療的処置が必要な状態の方に関しては医療保険が適応されることがわかると思います。
②特別指示書について
そしてもう一つ 特別指示 というものがあります。略して トクシジ と呼ぶことが多いですね。名前の通り特別指示書ですので、緊急性が高い場合に出される指示書の事です。
特別指示書とは利用者の状態が急激に悪化し、頻回の訪問看護が必要な状態になった場合に、医師の診察の結果出される指示書のこと
特別指示書に関しては、全国保険医団体連合会により様式が示されています。(別紙様式16)
この様に利用者に頻回の訪問看護(医療的ケア)が必要になった場合に出されるわけですので、それだけ緊急事態であることも認識しておきましょう。
内容では、病態悪化時の褥瘡処置、退院直後の各瘻孔処置、傷の処置、点滴など、毎日の訪問による対応が必要な場合が対象となりますので、主治医からの指示を仰ぐとともに、主治医と連携を取りつつ医療的看護を提供していきましょう。
以上、特別指示書についてでした
③介護の基本報酬について
介護被保険者の1カ月当たりの上限額から覚えていきましょう。確実に覚える必要は、ないですが、何となくこれぐらいかな。というあたりはつけられる程度に覚えておきましょう(報酬改定ごとに変わるので、その点も注意しましょう)
この様な区分支給限度額になります。大体ですが 介護度1上がると5000単位増える と覚えておけばよしでしょう。
④地域区分による収益格差
この介護保険1単位当たりの円換算が地域によって変動する 現在1等級~7等級+区分外 の8区分となっている。
これ以外にも住まいの地域の物価や不動産の値段等を鑑みて地域区分が定められています。例としては東京は1単位=11.4円、地方田舎都市では10.17円と大きな開きがありますが、その時点での物価と連動するため、特に都心部だと高くなりますね。
https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/000566688.pdf
厚生労働省 介護給付費分科会 172回 R1.11.15
たかが1円・数銭の違いではないか?と思っていないか。
ちがうんですか??
ばかもの、「塵も積もれば山」となる。これを見なさい。
1円、数銭の違いですが、事業所毎に入る収入は1カ月単位で考えると大きな差が出てきます。
④介護報酬の基本報酬
そして、介護保険はさらに 基本報酬+加算 の形で算定されます。
ここでは基本報酬について説明していきます。
種類 | 介護(単位 | 予防’(単位) |
20分未満(20分以上の訪問が週1回以上プランにあることが前提) | 313単位 | 302単位 |
30分未満 | 470単位 | 450単位 |
30分以上~1時間未満 | 821単位 | 792単位 |
1時間以上~1時間30分未満 | 1,125単位 | 1,087単位 |
理学療法士等の訪問(20分あたり)1日2回を超える場合は90/100、で週6回まで算定可 | 293単位 | 283単位 |
これを見て気づく点はないでしょうか。
そうです、理学療法士の訪問が病院からの訪問リハビリと同様に20分刻みとなり、報酬も若干ですが低く設定されています😢
あまりにも訪問リハを大量に行う偽訪問看護ステーションの横行により、療法士にしわ寄せがきた結果、報酬制度が下げられてしまっている印象です。現場としては、必死に看護と協働で訪問を行っているのに、なんとも「憤懣やるかたなし」ですね。
でも文句を言ってもしょうがありません。厚労省の打ち出してくる報酬で収益を出すことのできる体制を、改定ごとに見直していく良い機会だと考えています。
介護報酬の加算について
介護報酬の加算について
加算は、詳細については個別の項目で説明を行いたいと思います。ここでは、どれが支給限度基準額、枠内算定加算で、どれが支給限度基準額、枠外算定加算かを整理していきます。
そもそも支給限度額内・外とは何か?
一つ前の項目で区分ごとに支給限度額が要支援1~要介護5まで決められていますが、支給限度額内の加算はこの加算の中に抑える必要がある加算になりますので、給付管理・サービス管理を行っているCMと上限オーバーにならない様にしっかりと管理を行う必要があります。
などがこれにあたります。
一方、支給限度額の枠外で算定してよい加算があります。緊急時、ターミナル等の予測できない(プランで加算発生を予見出来ない)もの、また、医療的ケアが必要なもの、ステーションのストラクチャ(職員体制)が評価されるものがこれにあたります。
などが当たります。
それぞれは詳しく別項目で説明していきます。