有名な中之条研究について説明してまいります。
この研究については、群馬県中之条の65歳以上の高齢者5000人を対象として、13年間という長期にわたり行われた研究です。
日本国内でこれだけ大規模で、長期間にわたる研究は少なく、多くの知見が得られた重要な研究に位置付けられています。
今回はこの内容から抜粋して、理学療法人生かすことのできる知見を紹介していきます。
まずは、青柳先生の報告から
・一日の歩数と中強度の活動時間との間には密接な関係が認められた。
・歩数の増加に比例して中強度の活動時間も増えるが、その増え方は一律ではなく二次関数に基づくことが分かった。
・また、運動を習慣にしている人、屋内での仕事が多い人は、その度が過ぎると、逆に健康を損なうおそれがあることが分かった。
・一日あたりの低強度と中強度の活動時間の比率は、男女とも3対1が標準であった。
青栁幸利:高齢者の歩行量とこころ・からだの活性化との関係,MB Med Reha 104:21-32,2009.
何となく体感的には理解していたものが、研究の中で裏付けがされたことが大変貴重であると考えています。特に、日常的生活で行われる低強度、中強度の活動が大変重要となる点と考えています。
青栁幸利:高齢者の歩行量とこころ・からだの活性化との関係,MB Med Reha 104:21-32,2009.
この研究結果を見る限り、健康的な生活を維持している方に共通しているのは、朝、昼、夕と適度な運動が行われているという事です。
そして、この中之条研究で得られた知見の中でもっとも有名なものは歩数と予防できる疾患との相関関係といえるでしょう。
青栁幸利:高齢者の歩行量とこころ・からだの活性化との関係,MB Med Reha 104:21-32,2009.
上記の図を纏めると以下の様になります。
- 4000歩+中強度の活動5分以上・・・うつ病の予防
- 5000歩+中強度の活動7.5分以上・・・認知症・心疾患・脳卒中の予防
- 7000歩+中強度の活動15分以上・・・骨粗鬆症・がんの予防
- 8000歩+中強度の活動20分以上・・・高血圧症・糖尿病の予防
- 10000歩+中強度の活動30分以上・・・メタボリックシンドロームの予防
歩数と適度な運動が重要と言えます。特に廃用の予防には 4000歩 が目安のカットオフ値の目安になるかと思います。
こちらの投稿で4000歩の重要性について別の切り口で書いていますので是非こちらもご確認ください。
以上、中之条研究についてでした。明日からの臨床に活かして頂ければ幸いです。