理学療法

高齢者の歩数のカットオフ値

理学療法を行う上でやみくもに歩行練習や活動指導を漫然と行っていませんか。

ここでは、しっかりとした研究結果から理論的な歩数を設定してみます。

特に、総合事業レベルの事業対象、支援1、支援2の方には、歩数を意識して指導を行っています。

それは、以下の研究結果を見てから実践するようになりました。

 高齢者70歳以上の1日の歩数と大腿四頭筋の筋力の調査では、大腿四頭筋ピークトルクと筋横断面積に関して4000歩以下で優位に低下を認める結果となった。

4000歩以上の歩行が確保されている場合は、ピークトルクと横断面積に優位差は認められなかった。


田中宏太佳ら:健常中高年者の日常生活の活動性と下肢筋力・筋横断面積 : 脳卒中片麻痺患者の廃用性筋萎縮予防に関する研究.日本リハビリテーション医学会誌 27(6): 459-463、1990

この結果は、大変有意義な研究結果だと思いませんか。すなわち一日の中で如何に4000歩を確保するかがポイントとなるといえるからです。

では、日常生活でどの程度の歩数が得られるのでしょうか。

平成9年に行われた70歳以上の高齢者に行われた調査では

  • 男性 5,436歩
  • 女性 4,604歩

とされており平均 約5,000歩(±8%) と考えられます。


引用:平成28年国民健康・栄養調査結果の概要

そうです、健康高齢者は多少の差はあれでも5000歩の歩行を自然と行っているのです。

そうすると4000歩を下回ると廃用性の筋力低下が起こることも当然と考えられるのではないでしょうか。

では、日常生活がほぼ自立されている方の歩数はどれくらいなのでしょうか。

いくつか文献をあさってみたところ大体ですが

  • 料理 360歩
  • 掃除片付け 420歩
  • 洗濯 170歩
  • 買い物 1,400歩

となっており合計2,700歩となりそうです。外出しての活動である買い物が自身でできるかがポイントになりそうですね。

また、4000歩-2700歩=1300歩 はどのように確保すべきでしょうか。

そこが、理学療法士としての患者運動指導のポイントとなります。

歩幅70cmとして考えると 10分~15分程度の歩行(1㎞程度の散歩)機会 を得ることが大切になります。

私は安価で購入できる万歩計を購入して自己管理で一日の歩数の目標を持つことを指導しています。

いかがだったでしょうか。

1日4000歩という目標値が少しでも明確になったかと思います。今後の理学療法の指導として役立てていただければ幸いです。

読んでいただいてありがとうございました。

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